仮歯(プロビジョナルクラウン)について
仮歯(プロビジョナルクラウン、以下プロビ)とは、最終的に被せ物が出来上がるまでの間や、咬合の診断やリハビリテーションのために、一時的に使用する仮の被せ物です。
歯を破損せずに取り外せるように仮着用(テンポラリー)セメントを使って歯に接着させます。
治療により形成された歯は象牙質がむき出しになっています。
象牙質はいわばスポンジのような構造のため、露出したまま放置すると内部に汚染物質や細菌が浸透してしまいます。
有髄歯であれば、冷たいものが凍みて時に鋭い痛みを感じるようになります。
それをプロビジョナルクラウンを仮着する事で阻止します。
さらに当院では仮着用セメントに抗菌剤を混入して象牙質の殺菌を図っています。
又、臨在歯と接触していない、或いは対合歯と咬合していない支台歯は1週間でも位置移動を起こす場合があります。
それもプロビを装着することにより防止します。
一時的な被せ物のため、プロビや接着剤の強度は強くありません。
そのため粘着性のある食品や硬い食品を召し上がると、取れてしまったり壊れてしまったりする可能性があります。
また、デンタルフロスや歯間ブラシを使用すると外れる可能性が高いです。
あえて使用する場合は、浮き上がらないようしっかりと指で押さえつけた状態で使用してください。
下記の内容を確認していただき、最終的な被せ物を接着するまでは普段よりも気を付けて過ごしましょう。
お食事
なるべく、プロビ側での咀嚼は避けて下さい。
粘着性のある食品(おもち、ガムなど)は、くっついてプロビが外れてしまいます。
また、強度が無いので甲殻類の殻や氷など硬い食品を噛むと壊れます。
お手入れ
特にプロビと歯茎の境を、歯ブラシで丁寧に磨いてください。
プロビの適合精度には限界があり、汚染され易いためより丁寧なお手入れをお願いします。
但し、デンタルフロスや歯間ブラシを不用意にご使用になると外れる原因になりますのでご注意ください。
(プロビが外れる方向へ引っ張る力をかけないでください。)
付け替え時期
最長2ヶ月以内での付け替えが必要です。
修復物が完成してセットするまでに使用するプロビであれば、2~3週間程度の使用で長期に使用する事はありませんが、咬合の診断やリハビリテーション等で使用する場合は数か月にわたり使用する場合もあります。
仮着用セメントの耐久はどんなに長くても約2ヶ月程度です。
インレー等、維持の弱いものや、咬合負荷の高い部位では数週間が限界の場合もありますので、必ず歯科医師の指示に従ってください。
限界を超えると仮着用セメントが溶解し内部に唾液や細菌が入り込みます。
最悪の場合、内部でう蝕が進行してして保存不能になる場合もあります。
予約変更等で来院間隔が長くなってしまうような場合には、ご自身での管理をお願いします。
プロビを仮着のまま、1年放置されたケース。
クラウン内部の仮着用セメントは完全に溶解して、感染によりう蝕が進行してしまいました。
このケースは歯髄の無い歯ですので、ここまでう蝕が進行しても自覚症状がありませんでしたが、有髄歯であれば知覚過敏はもちろん、歯髄に感染が及べば取り返しのつかない辛い症状が出現する危険性があります。
外れた場合・破損した場合
また、破損していてもプロビは必ず捨てずにお持ちください。
再製作による費用と治療時間を軽減できます。
何歯かに連結してある場合、たとえ外れなくても1歯だけ仮着用セメントが溶解してしまう場合があります。
その場合はカタカタ・フカフカするなどの違和感が生じますので気が付かれましたら電話にてご相談ください。
速やかにご一報くださるようお願いいたします。
プロビ装着することにより歯の位置移動を防ぎ、仮着用セメント中に抗菌剤を混ぜ込むことでお口の中の雑菌から保護しております。
出来るだけ速く再装着の予約をお取りください。
万が一速やかにご来院出来ない時には
ご来院いただくまでの対応として、破損がなく外れた場合は歯の位置移動を防ぐために内部と歯を清掃後はめておいて下さい。
但し、連続装着は3時間以内とし(内部で菌が繁殖するためです。 但し就寝時は仕方ありません。)まめにプロビを外して、ご自身の歯とプロビの内側を歯ブラシで洗浄してください。
お食事は必ずプロビを外してお召し上がりください。
(食事中に外れて噛んで壊れてしまう可能性があるため)