不正咬合についてのお話が続いているけど、そもそも咬み合わせって何がどんな仕組になっているのかな。
例えば咬み合せが正常な人でも、下アゴを前に突き出すと受け口のマネができるし、
出っ歯の人が同じく下アゴを前につき出せば、前歯の咬み合わせは正常に見えたりするよね。
歯性の反対咬合の治療は比較的しやすい。
しかし、骨格性の反対咬合は、治療が難しい。
これらは人のアゴの関節の複雑な構造によるものなんだ。
という訳で、今回はアゴの動く仕組みについて説明しようね。
アゴの関節は、頭の骨の側頭骨というところの耳の穴のすぐ前のところにくぼみ(関節窩)があって、それに下アゴの突起(下顎頭)がはまっている構造。
口を開け閉めする時、アゴの関節はカスタネットや蝶つがいの様に単純に開らいたり閉じたりするのではなくて、
下顎頭が前後にすべりながら開け閉めする仕組みになっているんだよ。
人は穀物を臼歯ですりつぶすのに、左右どちらかの歯でこすり合わせるようにして咬む事ができるよね。
例えば右で咬もうとする時、下アゴは右側に動いていくでしょ。
その場合、右の下アゴ関節は前には動かずに反対側の左の下アゴ関節が前方に出るっていう仕組み。
だから片方の関節が前に滑り出ない場合(前方滑走不良)は、その反対側の歯では咬みにくいんだ。
つまり右で咬めないのは歯のせいばかりじゃなくて、左の顎関節の滑走障害が原因って事も多いんだよ。
歯の形態と顎関節は、食べ物を効率よく咀嚼するのに適した組み合わせになっていて、肉食・草食・雑食動物によってそれぞれ特徴があります。
肉食動物では鋭くとがった歯とハサミの様に上下に開け閉めするだけの顎関節。
馬・牛・鹿・ウサギなどの草食動物では、上下だけでなく、すりつぶせるように左右にもアゴを動かせる顎関節。
穀物、木の実を食べるモルモット、チンチラ、リスなどのげっ歯類では、主に前後に顎を動かします。
そして雑食である人は、上下・前後・左右へと広い範囲でアゴを動かす事のできる顎関節が特徴です。