保存修復治療
詰め物・被せ物
可能な限り歯髄を温存
歯髄(俗に言う神経)の温存に努め、残存している健康歯質を可及的に保存いたします。
(歯髄の保存には実績があります。 過去20年間の非炎症性の露出歯髄の温存成功率は99%以上です)
最高レベルの接着
治療して何年も経たないのに詰め物や被せ物が取れてしまったり、中の歯がひどく腐敗していることを多くの方が経験され、疑問をもたれます。
歯に詰め物をしたり、冠を被せたりする上で大切な事は多々あります。
緻密な形成、精密な印象、適切な形態と咬合の付与、適切な素材の選択など気を使う事はとても多いのですが、確実な接着処理は歯質の保護をする上で最も重要です。
しかし、歯質の大半を構成する象牙質はその約30%がコラーゲンと水系成分であり、例えて言うなら水で湿ったスポンジのようなもので、接着が極めて困難な物性となっています。
そのため、詰める・被せるなどの治療の予後は人工物の質よりも遥かに接着の質に左右されます。より高度な接着技術では歯と人工物をくっつける以前に、接着樹脂が歯質に浸透して酸や細菌の侵入を防ぐ人工エナメル質として残存歯質を保護することをめざします。
当院での歯髄の保存率が高いのはこれにこだわっているからです。
事故で折れて歯髄の露出しているような歯を、接着技術を駆使して歯髄を温存し、折れた歯の破片を接合した実績症例も多数あります。
そのためには接着する前段階として歯牙や人工物を適切な状態に処理する必要があります。
(これが最も重要で複雑かつ精密な処理を必要とする極めて難易度の高い作業です。)
もし、その処理面が針の先ほどの唾液や歯肉からの血液に汚染されただけでも目的は達成されません。
口の中であふれ続ける唾液や、動き回る舌や、時には強固に緊張する唇や頬の筋肉を押さえながらそれらの処理を完璧にこなすことは容易ではありません。技術的な熟練はもとより術者の精神力と体力も必要とします。
治療の症例
接着のための設備
技術ばかりでは無く、清潔な診療環境をつくる設備や緻密な作業のできる精密な診療機器(ドイツのシーメンス社製)など、診療の質を高めるためにあらゆる配慮をしております。
接着にはオイルが天敵ですので、オイルフリーコンプレッサーやシロピュア(独シロナ社製、世界唯一のオイルフリーの切削器具)を使用し、徹底的な理想環境を作っています。
治療経過につきましては写真(特に処理後の接着直前の状態が重要)をすべて撮影して記録し、いつでもお見せできるようにしております。
しかし私とても所詮は人の子、いくら努力しても人間の力の限界というものがあります。
この1996~2016年の20年間では記憶にある限り、補綴物や歯牙の破損に伴うものを除き処置後接着不良による詰め物や冠の脱落は皆無ですが、歯牙の約30%が水である以上、理論上は加水分解等によりその接着強度は減衰してまいります。
残念ながらそれらの物性を科学的に検証すると、お気楽に10年は持つなどとは決して申せませんので、とにかく必要最小限の歯牙切削に留める様努力しております。