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再生医療

歯科再生療法-骨造成外科

 

歯を抜きますと、その周囲の骨が驚くほど失われてしまいます。

周囲骨が90%も失われることも珍しく無く、顎骨は痩せ細っていきます。
良く勘違いされるのですが、骨が盛り上がってくる事は極めて特殊な事例を除いてはありません。

歯を支えている骨のボリュームは必要以上には無く、特に唇側(口の外側)の骨は1mmにも満たない事はごく一般的であり、抜歯により歯と骨の間の歯根膜も消失する事から、歯根膜内の血管網により栄養供給を受けていた唇側の薄い骨も消え去ってしまいます。
骨が痩せ細ると義歯が安定しない、インプラントが埋入出来ない、歯茎が凹んで見た目が悪い・そこに食片が溜まりやすい、口元に皺が出来て老けた顔貌になるなどと様々な障害が生じます。

それを解決するのが骨造成外科です。
抜歯時と同時に処置を施す場合、後から骨造成する場合、欠損の大きさによっては両方、或いは複数回行う場合があります。
骨の損失は歯科医師による抜歯の手技によってもかなりの差が出ますし、抜歯の際、歯を抜くことだけを念頭に行われたのか、事前に準備をして骨の再生を勘案して抜歯と同時に行い骨吸収を最小限に抑えていくこと(ソケットプリザベーション或いはリッジプリザベーションと言います。)を行ったかによっては、後々の治療に大きく影響が出てきます。

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骨造成外科の方法
1、血液中のフィブリンや成長因子を利用
CGF(Concentrated Growth Factors)・AFG(Autorogous Fibrinogen Glue)

通常、怪我をして血管が破れると、その血管の穴を埋めるために血液中の凝固因子が刺激されてフィブリンという物質が形成され、傷口をふさいで出血を止め傷の治りを促進します。
CGF・AFGは、患者さんご本人から採血された血液を遠心分離機にかけて作製します。
 
CGFとは、損傷された組織の再生・治癒に働く「成長因子」を多く含んだ血小板がさらに濃縮されているもので、創傷治癒の促進と骨の再生が促進されます。

AFGとは、抗凝固剤が入っていない自然な状態に最も近い血漿の事です。
血漿は毛細血管を介して組織液と循環する事で各細胞に栄養やホルモンを運ぶ働きがあります。
AFGに骨補填材を混ぜることによりゲル状に固まるため、インプラント埋入時の骨造成、歯周外科、GBRなどの外科処置での操作性が格段に向上します。

  👆クリックで拡大します。

 
2、 GBR(Guided Bone Regeneration)

骨を再生させるには、

1.自家骨の再生に期待する (吸収製コラーゲンの使用も含む)

2.吸収性の骨補填材を移植して自家骨に置換させる

3.非吸収性の骨補填材を移植して自家骨に同化させる

4.以上の複合

を行います。

骨を造成したいところは抜歯により穴が開いていたり骨が痩せているわけです。

抜歯後の穴はそのまま放置すれば上皮組織が傷を覆い隠すように1日もすれば穴の中まで侵入してきます。

それに比して自家骨が再生したり、移植骨が自家骨と入り混じって同化するのには数か月を要します。

そのため、いずれの方法においても、骨を造成させたい部分のスペースを必要な期間中保持して、軟組織がスペースに侵入しないように何らかの素材でバリアする必要があります。

バリアにはコラーゲンや豚の心膜などの生体マテリアルに由来する吸収性のものとチタンや化学合成による非吸収性のものがあり、用途によって使い分けます。

 

抜歯後の骨の再生に使用するのは、Cytoplastシトプラスト)等の非吸収性メンブレン(膜)を抜歯窩周囲の骨と骨膜間に挟み込んで、上皮組織の抜歯窩内への成長を遮断して骨の再生スペースをキープします。 

痩せた骨の水平的、或いは垂直的な骨造成を図る場合は、剛性のあるチタン製のメッシュプレートをテントのようにして骨補填材を覆い、骨上に一定期間固定します。

特にメッシュプレートを複雑な形状の骨に適合させる場面では、CTから3Dプリンターにより骨モデルを作成して事前により緻密な計画と準備を行う場合もあります。

これら骨造成のテクニックは種々あり、大きめの吸収性メンブレン内部に骨補填材をパンパンに補填した状態でチタンピンで骨に固定するなど他にも数々の手法があり、くまがい歯科では症例に応じて最適な術式を選択して行っています。

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​CTデータから3Dプリンターで骨モデルを作成。

それにより予め、骨造成のためのチタンメッシュプレートを成型しておきます。

サージカルガイドにより、正確にインプラントを埋入と共に骨造成を行った症例。

3、 骨補填材

自家採取骨、EC基準に合格した同種骨、牛由来のBio-Oss、Cerabone、化学合成の各社β-tcp、国内でインプラント用途で初めて認可を受けた炭酸アパタイトCytrranns Granules等を造成したい部分に、AFGと混合して移植します。

移植部はCGFでカバーして縫合、或いはその上からメンブレン等で被覆して縫合します。

くまがい歯科では世界で注目されているチューリッヒのBotiss社の生体材料を個人輸入できますので多くの手術に適応しています。 
これにより今まで、ドナー採取のために行っていた手術が回避できるなど患者さんに手術負担の少ない骨造成の手術が可能となっています。

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Botiss社の生体材料について

Maxgraft®は、人骨由来の同種骨で無菌で安全性の高い製品です。
オーストリアで製造処理されています。オーストリア保健省の規制、監査、および認定を受けており、欧州連合(EU)の最高の安全性基準を満たしています。

骨造成術のための同種骨ブロックは、供給部位の合併症・感染症や術後の疼痛・骨の安定性の喪失を防止する、患者の自家骨に代わる骨充填材の一つです。

Maxgraft®が有する高い生物学的再生能は、予知性の高い臨床的結果をもたらします

Mucoderm®は豚真皮由来のコラーゲンで、血管の再生と粘膜の統合を支持した、患者独自の粘膜組織に代わる代替材料です。
 使用後、患者の血液は3次元的な軟組織ネットワークを通してMucoderm®グラフトに浸み込み、宿主細胞が軟組織グラフト表面に到達して、血管再生のプロセスが開始します。Mucoderm®は、患者の健全な構造に依り、有意な血管再生が始まります。M
ucoderm®は自家結合組織の安全な代替材料で、多くの軟組織移植に適応します

上記の再生医療を行うためには日本の法律下にある再生医療安全法による届け出と、それに対する審査委員会への定期症例報告の提出が義務化されています。

くまがい歯科ではそれらを順守して再生医療を行っています。

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