ボツリヌストキシン
- 2025年9月5日
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更新日:2025年9月14日

以前より下向き姿勢による無意識の噛み締めについて解説してまいりましたが、筋肉肥大による過度な噛み締めに対しては、薬剤による咀嚼筋力の軽減が即効します。
エラの張られた方の多くはX線画像により下顎枝の幅が広く、下顎角が直角化し、そこに付着している咀嚼筋群が肥大しています。
また、上顎の口蓋の中心部が骨で盛り上がっている骨隆起や、歯を支えている歯肉部の骨が隆起している外骨症は過度に強い持続した噛み締めや歯ぎしりにより生じます。
側頭筋による頭蓋骨の締め付けによる頭痛に悩まれている方も多いです。
これらの筋肉のはたらきを抑える薬剤がボツリヌストキシンです。
ボツリヌストキシンは自然界に存在するボツリヌス菌とよばれる細菌がつくる「A型ボツリヌストキシン」という毒素(タンパク質)を主成分とする薬剤のことです。
この毒素を生理食塩水で薄めて皮膚や筋肉へ注入して、神経から筋肉に出される指令の伝達を遮断し、筋肉の過剰なはたらきを抑えます。
ボツリヌストキシン製剤は美容外科ではシワ取りや小顔治療等の美容治療として広く普及していますが、歯科領域では過剰筋緊張による様々な口腔内病変の治療として確立しています。
ボツリヌストキシン製剤は多くのメーカーから販売されていますが、くまがい歯科で採用しているのはメディトックス社製のイノトックスです。
イノトックスは、韓国のメディトックス社が開発した世界初の液体型ボツリヌストキシン製剤で、安全性と効果が高いとされています。
イノトックスの特徴
1. 動物性由来物質の排除:
イノトックスは、動物性由来物質やヒト血清アルブミンを完全に排除しており、これにより副作用のリスクが低減されています。従来のボツリヌストキシン製剤では、ヒト血清アルブミンが保存剤として使用されており、発熱やじんましんなどの副作用が報告されていますが、イノトックスではこれらのリスクが抑えられています。
2. 液体型製剤:
通常のボツリヌストキシン製剤は粉末状で、生理食塩水で希釈して使用しますが、イノトックスは液体型であるため、希釈の必要がなく、濃度のバラつきや細菌感染のリスクが低減されます。
その利点の反面、短い使用期限と製剤価格が割高のため他のメーカー品よりコストがやや割高となります。
3. 効果:
イノトックスは、歯科領域では咬筋や側頭筋に処方することで、過度な噛み締め・食いしばりによる歯の異常摩耗・破折・歯ぎしり・外傷性歯周病・頭痛の軽減。
オトガイ筋への処方で下顎前歯への過剰な圧力による咬合や歯列の不正、筋肉の締め付けによる歯肉の菲薄化→血流減少→歯肉退縮、歯槽骨吸収という外傷性歯周病進行の軽減が期待されます。
使用方法と安全性
施術の手軽さ:
イノトックスの施術は比較的短時間で行え、効果は個人差がありますが、持続時間は4~9か月程度とされています。
効果が薄れた時点で反復して処方することで当該部の肥大した筋肉が縮小していきます。
診療費は
施術料 3300円
薬剤料 20単位11000円です。(税込 2025年現在)
咬筋には片側16〜20単位、両側32〜40単位
オトガイ筋には8~12単位を通常使用します。
施術する院長は日本歯科大学解剖学教室にて博士号を取得しており、顔面筋肉の走行を把握して慎重に注入を行います。
当院にて受診されている患者様限定の治療補助施術とさせていただいております。
治療目的なので医療費控除の適応となります。
妊娠中・授乳中・妊娠の可能性のある方は治療を受けられません。




